『雲のむこう、約束の場所』

2004/12/23 Thu 02:22

雲のむこう、約束の場所

渋谷シネマライズでの第一次公開が24日で終わってしまうので渋谷に行ってきました。

一応公開中の映画なのでネタバレしない範囲で何が書けるだろうかというところではありますが、鑑賞中に考えていたことを順を追って出していきましょう。

まず佐由理のキャラ設定があまりにもオタウケを狙いすぎというか、すごく典型的に思えてむしろ抵抗感を感じた部分がありました。現実にあのレベルの方がいることは否定しないけど。あとは特に動きのつけ方の点で、あまりにも強調された女走りをしてたりする部分からそのように印象づけられてしまったこともあるかも。

ストーリー展開は「ベタベタ」と言ってもよい類のものですが、新海誠の作品について今さらその部分をどうこう言うのは野暮でしょう。少なくとも僕はそれを予測していたし、むしろ期待すらしていました。その期待が満たされたという点では納得のいくものでした。たとえ否定するにしても、セカチューと比べればぜんぜんマシだと思いますよ。

この作品のパイロット版が公開された当初は「ついに『一人ジブリ』の境地に至るか」と噂されていたわけですが、実際に観てみた結果、少なくとも現状においては、この人はガイナックスの後継と考えるべきかなと思いました。まぁ「後継」というよりは『王立宇宙軍』との類似をどう見るかという点についてなのですが、友人の言葉を借りるなら「まぁパクと言われてもしょうがないという気はする」というところです。しかし僕自身は『王立宇宙軍』は大好きだし、そこに「青春」(これは『王立』にもある要素だけど、もっとストライクな意味で。または「童貞」でもいいけど)と「ベタな恋愛モノ」という側面に注目すれば、『王立』あるいはその後のガイナックスにないものが付加されていると言えると思います――とはいえ『トップ』『エヴァ』『カレカノ』を考えると完全ではありませんが、それでもなおまだオリジナリティを発揮していると、個人的には感じています。

と、擁護するにも若干の苦しさがあるのは、おそらく制作プロセスの問題でもあるのかなと思います。やはりこの作品は「ガイナ作品の廉価版」という印象を完全にぬぐい去れないことも否めません。この要因は、上映時間を1時間31分という長尺に設定したことが大きいでしょう。工程数が増大した結果として各工程の精度が下がってしまったことは公開延期という事実からも窺えるし、また(一部で論議を呼んだ)外注の影響もありうるでしょう。その結果として「個人制作」というブランド感も、若干であるにせよ薄れてしまったのは確かです。

個人的には、今後は30~45分程度の佳作を作るだけでもいいのではないかと思います。しかしそこは配給やマーケットなど大人の事情が関係することではあるんでしょうし、それは先駆者たることの難しさでもあるはずです。しかし、もっとコンパクトな作品だけであったとしても十分に意義のあることだと思います。たとえ25分の『ほしのこえ』であれ、それが超人的な能力の所産であることは明白な事実です。

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