屠殺場5号に、 死んでゆく牛はモーと啼いた。

2005/04/05 Tue 05:40

マルチタスクは人間に向いてない(CNET Japan)という記事を読んで、そういえば最近ひとつの主題を長時間キープして考え続けたりしてないなぁと思った。このとき念頭に置いていたのは主にここに書く内容のことで、以前はウェブに自分のことを書き散らしていたものだが、しばらくそういう書き方をしていない。というより、できなくなってるのかもしれないと不安にもなったりしたので、久しぶりに書いてみようかと思う。またしばらく忙しい時期に入りそうだし。

ある友人が、久々に会った彼の友人が社会的に立派になっているのでショックを受けていた、というのを間接的に知った。まぁ細かいことを問えば「社会的に立派になった」という表現には収まらない出来事であったようなのだが、とにかく彼はそういうような友人と自分とを比較して、空しくなっちゃったようであった。

僕はこの7~8年間で、周囲の環境がかなり激しく変化した。僕の周囲にいる人が、普通かそれ以下の社会的ステータスを持つ人たちが多数派であったところから、普通かそれ以上、あるいはとても良いステータスを有する人たちが多数派になってしまった。前段に登場する「友人」はこの7~8年の間に僕の友人になった人物で、今の僕と同じか、もっとひどい(周囲にいる人の社会的ステータスが高い)環境に置かれている。

僕の周囲にいる人々の社会的ステータスは分散しているので、彼のような事態に置かれたとしても彼ほどのショックは受けない。ビリー・ピルグリムのごとく「そういうものだ」と思ってスルーするか、少しはショックを受けたとしても自分の生活にあまり影響は出ないと思う。あるいは、僕が彼よりも老いていることがひとつの原因であるかもしれないが、しかしそれ以外にも置かれていた環境の違いが大きく作用しているだろう。

ある種の社会的選別が鮮明に現れてくるタイミングにさしかかったときに、置いて行かれる立場に立った/立たされたとき、置いて行かれるその落差が大きいのはむしろ、周囲に良いステータスを持っている人たちが多い人のほうなのかもしれない。

六本木ヒルズで行われているという若手起業者のサークルに参加している人が「ここに来るとテンションが上がるんですよね。みんなテンションが高いので、上げざるを得ない」と嬉々として語る様子をテレビで見たが、そういう資質ないし動機を共有する同士であればシナジー(笑)効果も期待できるのかもしれない。でもそれが共有されていない場合、ある種の悲喜劇的な状況ができあがる。同情するよ、伝わらないけど。

さて、全力でダッシュする側のトップグループにいる梅田さんの「次の10年はどういう時代か?」(My Life Between Silicon Valley and Japan)という記事から、彼が語ったという講演の内容を。

20代半ば(1980年生まれ前後)の人たちが、キャリアとして大きな成功を得られるか否かは、自分が2010年から2030年くらいの間に自分が何ができるか、ということにかかる。ちなみに、僕の場合は1960年生まれなので「1990年から2010年」という期間が極めて重要で、キャリア形成という意味では、その間に時代の流れとシンクロできたことが大きかった。

だとすれば、2010年から2030年という時代がどういう時代であるのか、ということをいつも意識して考えることが必要だ。そのためには、歴史はこれまでどういう風に動いてきたのかということから、これからの10年がどうなっていくか考える癖をつけるといい。

「自分はこれをやる」と内面から湧き出すものがある人は別だが、普通は、時代の大きな流れの中でどういう役割が果たせるのか、ということのほうがキャリアにおいては重要になってくるからだ。

僕と同世代でダッシュをかましている人たちは、いままさにこういうことを考えているのだろう。ちなみに僕は70年代生まれなので、「極めて重要な」2000~2010年はもうすでに半分が過ぎようとしている。僕は何かしてきただろうか――あまり考えたくない問いだ。ゼロだとは思わないが、何かを生み出すような蓄積かどうかは甚だ疑問である。少なくとも「キャリア」にはつながりそうにない。そして、ここしばらくは、「内面から湧き出すもの」もなければ「時代の大きな流れの中でどういう役割を果たせるのか」にもあまり関心がない。その「流れ」を眺めるのは嫌いじゃないが、そこに入っていこうとは思わない。

これはどういうことなんだと。とにかく不思議である。なぜこうまでもどうでもよく、しかもそれがかなり妥当であると僕が思っているのか。そう思わない人は、いかにしてそうなのかと。内面から何かが湧き出しているとすれば、そんなことばかりである。それはここ数年はじまったものでもない。だからこそ僕はキャリアを左右すると言われる重要な時期にあっても「これからお休みの人」と杉崎美香にカテゴライズされながら「めざニュー」を見ているのである。「それがあなたなんだからいいじゃないか」などというみつをイズムが欲しいのではない。

9年以上前の生活がひどく恋しい。

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