ある悪から目を反らしてもらうTips
2006/03/23 Thu 19:15
Winnyを利用したウィルス拡散による情報流出の件ですけどね、ここ一連の政府やマスコミ(IT専門系を除く)の対応を見ていると、Winnyが著作物を効率的に共有するために使われているという側面への注意がおろそかにされている気が。
「情報漏洩を防ぐ最も確実な対策は、PCでWinnyを使わないことです」――。15日、多発するウイルス「Antinny」による情報流出に、安倍晋三官房長官が異例の呼びかけを行なった。
「Winnyを使わないで」安倍官房長官が国民に呼びかけ (INTERNET Watch)
そもそも、Winnyを使用しない限り問題は発生しませんが、個人レベルでその有用性を享受する自由は残されています。ただし、個人的にWinnyを使うのであれば、Antinnyの侵入を防ぐためWinnyによるダウンロードファイルの拡張子を毎回確認すること、情報漏洩の危険性を踏まえ、Winny搭載マシンには個人情報は一切入れない、残さない、といったことが最低限必要となります。
ファイル共有ソフト、Winnyを悪用するウイルス Antinnyに注意 (McAfee)
情報流出を防ぐには
ウィニーを使わない
パソコンを2台持ち1台はウィニー専用にする
上に引いた表現のうち、すべてが「情報流出の危険があるからWinnyを使わない」という注意喚起であって、「Winnyを使って著作物を共有しない」という主張は行われていません。それでも「Winnyを使わない」のであれば著作権侵害をも同時に防げるのでまだいいわけですが、今回のようなケースとなると、彼らは「それでもWinnyを使っちゃう人」への注意を用意しなければなりません。すると、それは「情報流出を防ぎながらWinnyを使う方法」を示すことになるというわけです。
マスコミを利用したメッセージ伝達では、できる限り情報を絞り込み、最も伝えたいメッセージを効果的に表現することが求められ、「一つの機会には一つのメッセージ」が原則ともなっているわけです。
これを逆手に取って、いけない目的を促進するために利用することもできる。つまり、ある悪への注意を軽くするには、もっと緊急を要する危険を用意すればいい。Winnyに関して「著作物の共有」に言及する余裕を与えないHD公開ウィルスの拡大は、こういうTipsに還元できるのではないかと思います。テロの脅威を盾にイラク駐留を正当化する梅毒大統領もこんなかんじですけども。
Winnyそのものと、Winnyを著作物共有に利用することと、Winnyを介してウィルスを拡散させることと、ウィルス混入ファイルを実行しちゃうこと、このそれぞれをきちんと分けて考える意識が、政府やテレビレベルで共有されることを願います。