男児突き落とし事件のこと

2004/06/24 Thu 19:53

社説:男児突き落とし 追い詰められる子供たち」(MSN毎日)

(……)今回の事件で加害者、被害者ともゲームセンターの常連だったことも驚きだ。未成年者や満18歳未満は締め出すはずの風俗営業に、幼児が出入りしても不思議に思わない感覚まひが社会に広がってはいないか。

 子供は子供らしく育てるべきを、都市化や都会生活の密室化、塾通い、パソコンの普及などが、ガキ大将を中心に子供たちが屋外で自由奔放に遊び回る環境をかき消してしまった。コンビニエンスストアに深夜まで若者がたむろしていることに象徴されるように、24時間型社会が夜間の外出や夜遊びに口実を与え、子供たちを非行や犯罪に接近させる結果を招いた。享楽的な大人の生活ぶりが悪影響を及ぼしてもいる。

今回の事件は、男子小学生が女子中学生に対して「(女子中学生がゲームセンターにいることを、女子中学生の)お母さんにばらす」と言ったことが発端となった、と、当の新聞自身が報じている。この社説では、事件の背景に、ゲームセンターに入ることが禁止事項にされていることのプレッシャーが存在し、口止めのために男児を傷つけようとしたたことを、まったく考えていないとしか思えない。この事件を見て「子供たちがゲームセンターにたむろすることを許容する大人社会」を、書き手への「自戒」も含めつつ批判するというお題目を繰り返すなんて、明らかな短絡だとしか思えない。詳細を見ようとする努力をひとつも感じない。子供たちの気持ちがわからない大人であることを、自ら明らかにしているようなもんだ。男児のコメントを取ったのは彼の同僚であるにもかかわらず、だ。

僕は中学から高校にかけて、「住んでいる」と形容できるほどゲーセンに通っていた。周囲から特に強い禁止を受けていたというわけでもなかったし、主観的に、今回の女子中学生ほど強く「罪」の意識を持つこともなかった。僕にとってゲーセンは居心地のよい場所だったし、その頃の友人とは今でも付き合いが続いていて、彼らとの関係は学校での友人よりもずっと親しいものだった。僕は「逸脱」と呼ばれるほど激しいこともすることはなかったし、少なくともゲーセンに「たむろ」する大多数は同じようなものだったはずだ。そして、ゲーセンにも秩序やルールはあるのだが、女子中学生はそれも守らずトラブルになることがあったという。ならば問題はゲーセンの外か、ないし少女自身にあったと考えるべきだろう。

ゲーセンにいる人たちは社会的に「ダメ」とされてしまう傾向があったかもしれないが、それはまったく努力を放棄しているという意味ではない。その方向が違うだけの話である。彼らはゲームとなると常軌を逸するほどまで努力していたし、そうした努力を社会的に認められる方向にも向けていて、高いステータスを持っている/後に得る人たちも数多く含まれていた。

と、ノスタルジーを込めてゲーセンを弁護するのはいい加減にしておく。たしかにすべてが良い思い出ばかりというわけでもない。しかしそこに暗い側面があると知ることもひとつの経験あるいは勉強だと、オヤジ臭い感想も付け加えておきたい。そして、この暗い側面は、いま言っていることとあまり関係がない。今回の事件はゲーセンへの出入りの「禁止」が問題なのだ。

この件に関して女子中学生を取り巻く状況を問題とするなら、学校に居場所を見つけられない子供に別の選択肢を用意することの是非や、さらにはそれをどういった形で提供するのか、などという論を展開するのはいい。あるいは学校やクラスという小社会のあり方、作り方であるとか、女子中学生が通っていたという「適応教室」(いやな名前だけど)について具体的に論じてもいい。学校の内外における「監視」や「禁止」のあり方に警鐘を鳴らしてみても、社説らしくていいかもしれない。でも今回の主張だけはまったく的はずれだ。

毎日は今日の朝刊の社会面にも「白昼の死角」と題したコラムを掲載している。直接的な言い回しではないが、文面にも、タイトルの「死角」という言葉選びにも、不信感が表れている。

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